結論:第4回診断テストの理科では、新しく加わる「運動とエネルギー」の計算問題が得点の分かれ目です。使う公式は「速さ」「仕事」「仕事率」の3つが中心で、失点の多くは単位の換算ミスと道具(滑車・斜面)を使ったときの距離の取り違えから起こります。この記事では公式の意味から順に整理し、途中式と単位まで書いたオリジナル演習問題で仕上げます。
第4回診断テスト理科の出題範囲
学習の診断(診断テスト)の出題範囲は、中学校から配布される範囲表で必ず確認してください。岡川塾の分析では、第4回で新しく加わる範囲は「運動とエネルギー」で、なかでも仕事・仕事率は出題されやすい単元です。あわせて、中1・中2と中3の1学期までに学んだ単元も出題されるため、新範囲だけでなく既習単元の暗記の抜けも今のうちに埋めておきましょう(5教科の全体像は「第4回診断テスト 傾向と対策」にまとめています)。
| 単元 | おさえるポイント | 計算の有無 |
|---|---|---|
| 運動と速さ | 平均の速さ・瞬間の速さ、記録タイマーの読み取り | あり |
| 力と運動 | 力がはたらかないときの運動(慣性)、斜面を下る運動、作用・反作用 | 一部あり |
| 仕事と仕事率 | 仕事=力×距離、仕事率=仕事÷時間、仕事の原理(滑車・斜面) | あり(重要) |
| エネルギー | 位置エネルギー・運動エネルギー、力学的エネルギーの保存 | グラフ・読み取り中心 |
※表は横にスクロールできます。
運動と速さの基本
「平均の速さ」は、ある区間を一定の速さで動いたと考えたときの速さです。一方、スピードメーターが示すような、その瞬間ごとの速さを「瞬間の速さ」といいます。テストで計算を求められるのは、ほとんどが平均の速さです。
記録タイマーのテープの読み方
記録タイマーは、一定の時間ごとにテープへ点を打つ装置です。1秒間に打つ点の数は使う電源の周波数で決まり、東日本では50回、西日本では60回が一般的です。問題文に「1秒間に○回打点する」と必ず書いてあるので、その数字を使って計算します。
- 1秒間に60回打点 → 6打点にかかる時間は 6÷60=0.1秒
- 1秒間に50回打点 → 5打点にかかる時間は 5÷50=0.1秒
テープの長さが同じなら速さは一定(等速直線運動)、テープが一定の割合で長くなっていれば、速さが一定の割合で増えていることを表します。
力と運動の関係
力がはたらかないとき:慣性の法則
物体に力がはたらいていないとき、または力がつり合っているとき、静止している物体は静止し続け、動いている物体は等速直線運動を続けます。これを慣性の法則といいます。「動き続けるには力が必要」と考えてしまうのはよくある誤解です。
斜面を下る台車の運動
斜面上の台車には、重力の「斜面に平行な分力」が運動の向きにはたらき続けます。そのため台車の速さは一定の割合で増えていきます。斜面の傾きを大きくすると斜面に平行な分力が大きくなり、速さの増え方も大きくなります。
作用・反作用
物体Aが物体Bを押すと、BもAを同じ大きさで逆向きに押し返します。作用と反作用は別々の物体にはたらく点が、1つの物体にはたらく「力のつり合い」との違いです。選択問題で区別を問われやすいので、どの物体にはたらく力かを図に矢印で書きこんで確認しましょう。
仕事とエネルギーの計算
仕事率〔W〕= 仕事〔J〕÷ 仕事にかかった時間〔s〕
物体を真上に一定の速さで持ち上げるときに必要な力は、物体にはたらく重力と同じ大きさです。多くの問題では「100gの物体にはたらく重力の大きさを1Nとする」と条件が示されます。質量(g・kg)を力(N)に、距離(cm)をm に直してから公式に入れるのが鉄則です。
仕事の原理
動滑車や斜面などの道具を使うと、小さな力で物体を持ち上げられます。しかし、そのぶん力を加える距離が長くなるため、仕事の大きさは道具を使わない場合と変わりません(滑車の重さや摩擦を考えない場合)。これを仕事の原理といいます。
| 道具 | 力の大きさ | 引く距離 | 仕事 |
|---|---|---|---|
| 道具なし | 重力と同じ | 持ち上げる高さ | すべて同じ |
| 動滑車1個 | 重力の 1/2 | 高さの 2倍 | |
| なめらかな斜面 | 重力×(高さ÷斜面の長さ) | 斜面の長さ |
※表は横にスクロールできます。
位置エネルギーと運動エネルギー
高い位置にある物体がもつエネルギーを位置エネルギー、運動している物体がもつエネルギーを運動エネルギーといいます。位置エネルギーは高さが高いほど・質量が大きいほど大きく、運動エネルギーは速さが大きいほど・質量が大きいほど大きくなります。摩擦や空気の抵抗を考えないとき、2つの和(力学的エネルギー)は一定に保たれます。ふりこやジェットコースターの図で、「いちばん低い点で運動エネルギーが最大」「いちばん高い点で位置エネルギーが最大」を読み取れるようにしておきましょう。
間違えやすい問題3選
1. 単位を直さずに計算してしまう
「500gの物体を20cm持ち上げた」とき、500×20=10000 としてしまうミス。正しくは 5N×0.20m=1.0J です。計算の前に N と m にそろえる習慣をつけましょう。
2. 動滑車で「引く距離」を2倍にし忘れる
動滑車を使うと力は半分になりますが、ひもを引く距離は2倍になります。「力は半分」だけ覚えていると、仕事が半分になる誤答につながります。仕事の原理で検算すれば防げます。
3. 物体を持って水平に運んだときの仕事
物体を手で支えたまま水平に移動しても、支える力(上向き)と動いた向き(水平)がちがうため、その力がした仕事は0です。「疲れる=仕事をしている」と考えないように注意しましょう。
無料演習問題と詳しい解説
以下は岡川塾オリジナルの演習問題です(過去の診断テストの問題ではありません)。100gの物体にはたらく重力の大きさを1Nとし、滑車・ひもの重さや摩擦は考えないものとします。途中式と単位まで書いてから解説を開いてください。
問題1 記録タイマーと平均の速さ
1秒間に60回打点する記録タイマーを使って、斜面を下る台車の運動を調べた。テープを6打点ごとに切り取ったところ、長さは順に 1.8cm、3.0cm、4.2cm、5.4cm だった。
- 6打点を打つのにかかる時間は何秒か。
- 3本目のテープの区間における平均の速さは何cm/sか。
- 1本目から4本目までの区間全体の平均の速さは何cm/sか。
解答と解説を見る
解答:(1) 0.1秒 (2) 42cm/s (3) 36cm/s
(1) 6打点 ÷ 60回/秒 = 0.1秒
(2) 4.2cm ÷ 0.1s = 42cm/s
(3) 距離の合計:1.8+3.0+4.2+5.4=14.4cm。時間の合計:0.1s×4本=0.4s。14.4cm ÷ 0.4s = 36cm/s。
テープは0.1秒ごとに1.2cmずつ長くなっているので、台車の速さは一定の割合で増えています。(3)で「4本の速さの平均」を出す場合も、(18+30+42+54)÷4=36cm/s と同じ答えになります。
問題2 仕事と仕事率
質量3.0kgの物体を、一定の速さで真上に0.80m持ち上げるのに4.0秒かかった。
- このとき手が物体にした仕事は何Jか。
- このときの仕事率は何Wか。
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解答:(1) 24J (2) 6.0W
(1) 3.0kg=3000g なので、重力は 3000÷100=30N。一定の速さで持ち上げる力も30N。仕事=30N×0.80m=24J。
(2) 仕事率=24J÷4.0s=6.0W。
kg を N に直す手順(kg→g→N)を飛ばさないことがポイントです。
問題3 動滑車と仕事の原理
重さ12Nの物体を、動滑車を1個使って0.30m持ち上げた。
- ひもを引く力は何Nか。
- ひもを引いた距離は何mか。
- ひもを引く力がした仕事は何Jか。
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解答:(1) 6N (2) 0.60m (3) 3.6J
(1) 動滑車では物体を2本のひもで支えるので、力は 12N÷2=6N。
(2) 引く距離は持ち上げる高さの2倍で、0.30m×2=0.60m。
(3) 6N×0.60m=3.6J。道具を使わない場合も 12N×0.30m=3.6J となり、仕事の大きさは変わりません(仕事の原理)。
問題4 斜面を使った仕事
重さ20Nの台車を、長さ1.0m・高さ0.40mのなめらかな斜面にそって、一定の速さで斜面の上まで引き上げた。
- 台車を真上に0.40m持ち上げるときの仕事は何Jか。
- 斜面にそって引く力は何Nか。
解答と解説を見る
解答:(1) 8.0J (2) 8.0N
(1) 20N×0.40m=8.0J。
(2) 仕事の原理より、斜面を使っても仕事は8.0J。斜面にそって動く距離は1.0m なので、力=8.0J÷1.0m=8.0N。
「力=仕事÷距離」と公式を変形して使えるかがポイントです。
解き終わったら
4問すべて途中式と単位まで正しく書けたら合格です。単位の換算でつまずいた人は「間違えやすい問題3選」の1を、滑車や斜面で迷った人は「仕事の原理」の表を見直してから、もう一度解いてみましょう。
本番形式で仕上げる:第4回診断テスト対策問題集
計算の手順がわかったら、本番と同じように他単元とまじった問題で練習することが大切です。岡川塾の「第4回 診断テスト対策問題集」は、過去の第4回を分析してよく出る問題パターンを選び、出題頻度の高い順に収録しています。
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よくある質問
公式を丸暗記すれば計算問題は解けますか?
公式だけでは不十分です。診断テストでは、単位の換算や「どの力が、どの向きに、どれだけ動いたか」を読み取る力が問われます。図に力の矢印と距離を書きこむ練習をすると、公式を正しく使えるようになります。
エネルギーの単元は計算が出ますか?
位置エネルギー・運動エネルギーはグラフや図の読み取りが中心ですが、仕事の量(J)とエネルギーを結びつける問題もあります。仕事の計算を確実にしておくことが、エネルギー単元の得点にもつながります。

